沖縄プロレスの創始者

スペル・デルフィンというプロレスラー

沖縄プロレスは結果的に見れば、その歴史の表面上だけで分析するとするなら5年弱の時間では『プロレス団体』としてはまずまずの成功を収めているといえるかもしれない。ただ何も沖縄プロレスと言うのは団体としては活動終了となったが、その後株式会社として再スタートし、現代表でもある『スペル・デルフィン』は大阪に本社の拠点を置くこととなる。そう、このデルフィンこそが沖縄で観光事業の一環として行なわれていたプロレスを盛り上げることに尽力していた人だった。当然だがこれはリングネームとなっている、本名は『脇田洋人』という至って平凡な名前となっているので、本人の事を考えてここではデルフィンとして通しておこう。

本名で活動していないところから察することも出来るが、彼の様相は覆面を被った『覆面レスラー』として活動している一人だ。そんなデルフィンはかつて、それこそ荒ぶる男として名を馳せて活躍していた『大仁田厚』をトレーナーとしていた時期もあるほど、実は知る人ぞ知るレスラーだったりする。ただ覆面ということで実際の顔を見たことも在るかもしれないが、そこはプロレスラーとしての人権を尊重するという意味で触れないでおく。

だがプロレスラーとして活動していたデルフィンがどうして沖縄で観光事業の一環としてプロレスを行っていたのかという疑問が浮かんでくる、その理由としては沖縄が大々的に募集を掛けていたある事がきっかけだった。

沖縄ベンチャービジネスサポート事業による後押しで

きっかけになったのは現在の奥さんが出身の沖縄で行われている『沖縄ベンチャービジネスサポート事業』というものに応募した事が始まりだった。この制度はどのようなものかというと、沖縄という特徴を最大限に生かしたビジネスプランの応募を募り、その内容によって沖縄をより活性化してくれるビジネスプランを求めているものだった。この事業に採択されると事業化の支援を受ける事が出来るようになり、さらにオフィススペースを必要とする場合には無料で提供してもらえるというものだった。詳しい事情は知るところではないが、奥さんとの事を考慮しての決断だったとみる方が早い。2006年、それまで大阪で別のプロレス団体を運営している最中でこの事業に沖縄プロレスとしての観光事業を提案し、翌年見事に採用されることとなる。これにより事業として、そして社長として沖縄プロレスに専念することを決心し、代表を務めていた『大阪プロレス』を売却するとともに沖縄でのプロレスを主体とした観光事業を行っていくこととなる。

プロレスラーとしては

社長としての経営手腕を遺憾なく発揮したデルフィンだが、肝心のプロレスラーとしての実力としてはどうなのかというと大阪を始めとした拠点での活動では名の知れた選手として活動していたが、ある時かなりショッキングな事件が発生する。それは対戦者であったディック東郷の猛攻に対して戦意喪失し、それに対して東郷は自身の叉を潜れば許すということを発言、デルフィンはこれを実行してしまう。当然そんな情けなさ過ぎる、プライドを捨てた行動に団体のメンバーは彼に対して激怒し、その場で彼に対して苛烈な制裁を加えることとなる。象徴とも言えるマスクを破られ、コスチュームを引き裂かれ、背中にスプレーで誹謗中傷の言葉を刻まれるなど、通常の社会なら確実に虐めの領域を遥かに超えた悪質な嫌がらせ行動を起こしてしまう。これに対して観客も激怒して暴動が巻き起こるなど大混乱となり、試合シリーズ途中で失踪をしてしまうまでになってしまった。

あれだ、格闘議会は特殊な世界で包まれている事は重々承知しているが、さすがにこれは酷すぎるだろうといえる。エンターテインメント性を意識した内容であったとしても、やって良いことと悪いことの区別はどの業界においても、常識で守られていなければならないのだがそうでないのが、プロレス業界の怖いところかもしれない。

デルフィンは失踪期間後、何とか復帰しているが充足期間を考えてもさすがにこの時ばかりは相当ダメージを負ったのだろう。人間以下の扱いをされるような行動は許されるはずもないが、そこから這い上がった精神力は凄まじいの一言で述べることが出来る。

現在は大阪市議会議員として活動中

そんなデルフィンだが、沖縄プロレスの事業支援専属契約が満了すると同時に大阪に戻り、そこで大阪市議会議員選挙に出馬し、同年には得票数2位を持ってして見事に当選するのだった。ただ覆面レスラーとしての顔もあり、その方が知名度を生かして活動しやすいとした意向を示した。本来なら認められないというべきだろうが、特殊な職業上議会においても着用が認められるようになった。この問題は以前もメディアで同様の内容が展開されていたことを覚えているが、そういう意味でもやはりプロレスというのが異色な存在感を放っているからこその許可なのかもしれない。